エツキサイ南トーチカ1  South Etsukisai Pillbox 1

↑ 崖上に露出していたエツキサイ南トーチカ1(2012年7月に撮影)
 地中に隠されていたはずのトーチカが、浸食により露出し、転落の危機に瀕していた。その後、2013~14年の間に崖下に転落し、上下逆さまの状態となっている。
↑↓ 崖下に転落する前のエツキサイ南トーチカ1(2012年7月に撮影)
 
↑ 銃眼(2015年8月に撮影)
 銃眼部分の奥行の長さに驚かされる。よく見ると、跳弾が内部に侵入しないように、底面に段差が設けられている。ここから南南西に約2.9kmの地点にあった野塚川河口トーチカ1も同様の構造だが、崖下の砂に埋没して姿を消してしまった。根室半島の防御陣地に築かれた落石トーチカ2も同様の構造で、そちらは当時の面影を保った状態で残存している。
※この写真は、崖下に転落後に撮影したもの。転落後は、上下が逆さまになっているが、転落前の様子が伝わるように、180度回転して掲載している。
↑ トーチカの側面(2012年7月に撮影)
 トーチカ本体と比較して、銃眼部分の巨大さが際立つ。トーチカの背面(写真右側)には、地下通路や塹壕が接続していたはずだが、近寄って確認できるような状態ではなかった。
↑ 地中に隠されていたころの様子を再現
 2015年8月に撮影した写真を、180度回転させてみた。
↑ トーチカ本体の内部(2015年8月に撮影)
 180度回転させた写真を掲載。トーチカ本体側の銃眼窓は、外観に比べてかなり小さい。右の壁面には換気口が設けられていた。
↑ トーチカ内部から見た射界
 2015年8月に撮影した写真を、180度回転させてみた。外の景色は本来の位置から撮影したものを合成。もしも米軍がここに上陸してきたならば…。
↑↓ Before and After(2012年7月と2015年8月に撮影)
 
↑ 崖下に転落したトーチカ(2015年8月に撮影)
 崖の上には、丸太が散乱していた。この頃は、人が侵入しないように、銃眼部分がベニヤ板で塞がれていた。その後2019年4月までに2つに割れ、銃眼部分とトーチカ本体が離れてしまったようだ。(Googleマップに投稿された写真を参照
 
■地図                                                        ▼ クリックで開閉 ▲
 道道1037号線を豊似川にかかるレインボー大橋から南へ1,300mほど進み、左折して砂利道を直進。崖の手前で道が右に曲がっており、道なりに下っていくと、すぐ近くのエツキサイ南トーチカ2の前に到着する。エツキサイ南トーチカ1は目の前に見えるが、間に小川が流れているので、渡るのに長靴を必要とする。
※トーチカ付近の坂道は狭く、両側から伸びる植物の葉が道路を塞ぐように伸びており、車体に傷がつく心配がある。また、下まで行くと4WDの車でないと砂地にはまって動けなくなる恐れもあるので、崖上に駐車し、徒歩で坂道を下りたほうが良い。ただし、この付近では野生動物との遭遇に注意が必要である。野生動物は、姿を隠しやすい河畔林や海沿いの森林地帯を移動する傾向があり、私も、このトーチカの近くでは、何度かエゾシカに遭遇した。ヒグマも同様のコースで移動すると考えられるので、念のため警戒したほうが良いだろう。
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■更新履歴
  2012年8月10日 公開 ⇒ 2015年8月12日 加筆修正(転落後の情報追加) ⇒ 2021年8月14日 リニューアル
■外部リンク
  At the place -その場所で-(エツキサイ南トーチカ)たんけんのきろく(広尾町エツキサイのトーチカ)