長節トーチカ3  Chobushi Pillbox 3

↑ 地すべりで滑落し、海岸に落下直前のトーチカ
 もともとこのトーチカは、海岸に上陸した敵兵を機関銃で側射できるよう段丘上に築かれていたはずだが、地すべりでここまで滑落したようだ。もしも、連合国側の上陸作戦がここで行われていたとしたら、(艦砲射撃で破壊されなければの話ではあるが…)徹底的なカムフラージュと海霧で、敵兵はトーチカの存在に気が付くことができなかったであろう。
↑ 北側から見たトーチカ
 銃眼の上に庇があり、土砂や草で良いカムフラージュとなっていた。
↑ トーチカの東側面
 その後、トーチカが横倒しになったため、現在は、この面を見ることができない。
↑ トーチカの背面から北側の海岸を望む
 350mほど先の段丘上に長節トーチカ2が残る。
↑ 今にも転落しそうなトーチカ
 1998(平成10)年11月に北方地域研究会の方々が調査された際には、ほとんど土に埋もれていたため発見が難しく、出入口がふさがっていて内部の測定も不可能だったそうだが、それから17年が経過し、地すべりで滑落しここまで露出した。(この約2か月後、さらに海岸に転落)
↑ トーチカの内部
 トーチカが転落しそうだったので、中には入らず出入口前から内部を撮影した。前方に銃眼と機関銃の銃座が確認できる。また、型枠支保工の木材が取り外されないまま朽ち果てているのが印象的だ。木材を取り外す余裕がなかったのか、それとも取り外す前に終戦を迎えたのかは不明。
↑ 海岸に転落したトーチカ 提供:横山 仁 様
 このページで紹介している転落前のトーチカは2015年8月3日に撮影したものであるが、横山様が同年10月23日に撮影された際にはすでに海岸に横倒しになっていた。(10月9日の大時化で転落か?) 横山様によると、銃眼から見て右前方の擁壁が転落で割れてしまっていたが、それ以外の損壊はないようで、銃眼下部に設けられた排水パイプの存在も確認できたとのこと。
※横山様、写真と情報をありがとうございました。
↑ 塹壕陣地とトーチカ Google Earthの画像を加工
 長節トーチカ3から南方約600mの段丘上には塹壕陣地が築かれていた。Google Earthの空中写真で確認すると現在でも残っているようであるが、そう遠くないうちに海岸浸食か地すべりで失われそうだ。また、この写真からは、トーチカの周辺で地すべりが発生していたこともはっきりと分かる。調査に行かれる方は、波の高さだけでなく、地すべりにも十分に気を付けていただきたい。
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 長節(ちょうし)湖の駐車場に車を置き、長節(ちょうし)集落南端の小道を通って海岸へ出て、そこから砂浜を1.2km南下すると、このトーチカに到着する。銃眼の上に庇があり、銃眼から見て右側(海側)前方に擁壁があるのが特徴的で、基礎部分は、下駄のような造りになっている。このトーチカは、もともと段丘上の地中に築かれたものが戦後70年の間に、地すべりで斜面を滑り落ち、海岸で横倒しになったものである。トーチカに接続する塹壕(交通壕)が段丘上にあったと思われるが、おそらく地すべりですでに失われているのと、このあたりではヒグマの出没が相次いでいるので、長節湖近くの森を抜けることはおすすめできない。海岸沿いを歩かなければならないので、事前に満潮・干潮の時間を調べて安全確保に努めてほしい。
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■更新履歴
  2015年8月11日 公開 ⇒ 2018年8月20日 リニューアル
■外部リンク
  根室の四季ブログ(長節トーチカ)気象庁(潮位表 花咲)Gman.jp(花咲港付近の潮見表)